「中寒」の方剤について、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の一考察

4.5

「中寒」の方剤について、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の一考察


日増しに気温が下がって参りました。
今日は「中寒の方剤」というテーマで進めます。
寒冷刺激(寒邪)のために発病した疾病を「中寒」と言います。
体の冷えが中ぐらいという意味ではなく、外部からの寒邪(かんじゃ)に中(あた)ることです。
毒にあたるという意味に近いのです。
これはさらに「臓腑の中寒」と「経絡の中寒」とに分かれます。

https://www.protan2.com/archives/29331

【中寒の冷えに対する方剤】

 

●「臓腑の中寒」

外邪冷気に中(あた)って起こってくる冷えで、内部寒証により腹痛や下痢をきたすことが多いです。
過日のメルマでもお話した「冷え腹」の証です。
用いるのは人参湯(理中丸)が繁用中の繁用と言えましょう。実は私も確実に「理中丸」の証です。
https://www.protan2.com/gan/archives/63
https://www.protan2.com/sga/archives/278

●「経絡の中寒」ここがポイントです。

やはり外邪(寒邪)により、皮膚、筋肉が痺れ、痛みを発することが多い。
冷気だけで具合が悪くなってしまう方は、現代の暖房設備の進化でとても少なくなったと
言われています。果たしてそうでしょうか?
全国の専業主婦をはじめ職業的に保冷設備の中で働いている方々。具体的には、スーパー生鮮部門の従業員さん、レストランの調理師さん、外仕事では農業、漁業を手伝っている奥様方。
「経絡の中寒」は職業病的な要素をもって後年になり具体化してきます。
つまり寒邪が体の外側に沿って中(あた)った状態となります。
顔を起点として耳後方から首筋へ、肩甲骨へかけての隙間(背骨)を伝わり、さらに肩口から二の腕の経絡へ。
これが、60を超えた頃から、気温の高い昼間でも背中ゾクゾクし、背部痛、腰痛。さらに両腕も神経炎症状。そして顕著な例では三叉神経痛や顔面麻痺も。
過去はこれらが併発するケースとして決して多くはありませんが、冷え体質のご相談の中で、何人かは該当します。
最近の傾向では昼夜交代で働いている介護士の方々や、家庭内で長年身内の介護されている主婦の方々も「経絡の中寒」タイプが多いです。
私も正味12年近く親の家庭介護に関わりましたが、申すまでもなく、昼夜問わずで、運動不足にも陥り、冬は特に体が冷えますね。。水仕事が多く、ゴム手袋をしていても『しもやけ』ができたこと憶えています。

【中寒への漢方攻略は極めて難題】

私が漢方薬局のオヤジしているのに、鍼灸や温泉療法をも推挙する理由がそこにあります。特に「経絡の中寒」を攻略するには、一筋縄ではいきません。
東洋医学をトータル的に駆使した治療をすべきと考えています。
https://www.protan2.com/sugihara/archives/309
薬剤師的には「中寒」に用いる方剤として「甘草乾姜散(かんぞうかんきょうさん)(杉原散剤)」が著名ですが、
「経絡の中寒」には、
https://www.pro-drug.com/cart/goodslist.cgi?in_kate=200-2-17
★「五積散(ごしゃくさん)」又は
★「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」
https://www.pro-drug.com/cart/goodslist.cgi?in_kate=200-2-39
という方剤を仮に挙げ、それを念頭に入れて患者さんの証の確認に入り、方剤の選択に移ります。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯とは?

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)という方剤です。
血行をよくして、体をあたためる作用があります。また、冷えによる痛みをやわらげます。
●「当帰四逆湯」に、温性薬の「呉茱萸」と「生姜」を加えたものです。
方剤名の由来もそこにあります。「四逆」とは四肢の冷え症状をあらわします。
漢時代の「傷寒論」という古典書で紹介されている処方です。
証は、虚証、寒証となります。
●具体的には、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛などに適応します。
冷え症で、とくに手足の冷えが強く、体力のあまりない人に向く処方です。

【構成生薬9味】

●当帰四逆加呉茱萸生姜湯の構成生薬は、下記の9味です。
「当帰」には、血行をよくして、体をあたためる作用があります。
「桂皮」と「芍薬」は痛みをとる代表的な生薬です。
体をあたため痛みを緩和する「細辛」や「呉茱萸」、「生姜」、水分循環をよくする「木通」などが配合されます。

当帰(とうき)


セリ科トウキ属植物の根を乾燥したもの。
血の循環を活性化する作用を持ちます。鎮痛、鎮静、強壮などに効果があります。

桂皮(けいひ)


クスノキ科トンキンニッケイやその他同属植物の樹皮を乾燥したもの。
停滞しているものを動かし、発散させる作用をもちます。
芳香性健胃、発汗、解熱、鎮痛、整腸、駆風(くふう)、収斂(しゅうれん)などに効果があります。

芍薬(しゃくやく)


ボタン科シャクヤクの根を乾燥したもの
筋肉の痙攣を緩和させる作用や血管の働きを順調にする働きを持ちます。
鎮痛・鎮痙(ちんつう・ちんけい)、収斂(しゅうれん)、緩和作用などに効果があります。

細辛(さいしん)


ウマノスズクサ科のウスバサイシン又はケイリンサイシンの根及び根茎。
主として、胸部、横隔膜のあたりに病邪のとどまっているもの、水毒(水分の偏在)を治す。

呉茱萸(ごしゅゆ)


ミカン科のゴシュユの果実。
主として吐気があり、胸部の膨満感のあるものを治す。

生姜(しょうきょう)


ショウガ科ショウガの根茎。生のショウガを「生姜」、蒸して乾燥したものを「乾姜」という。
体を温め、新陳代謝機能を高める作用をもちます。
主成分のジンギベロールは血小板の凝集を妨げます。
また、軟骨を破壊する酵素の生成を抑制する効果も認められています。
芳香辛味性健胃、食欲増進、発汗などに効果があります。

木通(もくつう)


アケビ科のアケビ又はミツバアケビのつる性の茎を、通例、横切したもの。
利尿作用。眼、耳、鼻、口、肛門、尿道の九孔ならびに諸関節の不調を滑らかにする。

大棗(たいそう)


クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥したもの。
体を温め、緊張を緩和させる作用をもちます。
下痢で傷ついた消化管を補修し、また興奮した腸の動きを抑制することで腹痛を緩和させます。
強壮、利尿、矯味(きょうみ)などに効果があります。

甘草(かんぞう)


マメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥したもの。
緊張を緩和させる作用をもちます。
成分であるグリチルリチン酸およびその加水分解物には、ショ糖の150倍の甘さがあります。
諸々の急迫症状を緩和し、鎮痛、鎮痙(ちんけい)、解毒、鎮咳(ちんがい)などに効果があります。
https://www.protan2.com/archives/29331
 

【私が中高年の女性に当帰四逆加呉茱萸生姜湯を推奨する理由】

本来は虚弱体質ではあるが、若い頃から多少無理されても頑張られてきた年配女性。
中高年あたりから経絡の中寒により、平素から背部に悪寒(ゾクゾク)を自覚し、腰痛や神経痛などで悩まれている方には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を推挙しています。
いわゆる血虚でかつ、常に風邪ひき症状に似た病態を背負っている方。従って、血脈がスムーズではなく、当帰四逆湯と呉茱萸湯を合方した形で表裏の寒に用います。

あなたの周囲にいませんか?現在60前後で、さあこれからだ・・と言っても、なかなか思うように活動できない女性の方々。大変にご無礼な言い方で恐縮ですが、さあ行くぞ!と、掛け声と気合いだけはお若いのですが、体がついていかない・・・。つまり息切れ、頓挫。。特に冬場の厳寒期になると、全く元気無し。

ぜひ当方剤、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を一度お試しください。
適証であれば抜群に効果を挙げます。
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https://www.protan2.com/dream/archives/132
 
以前は、煎じ薬(刻み)を当店で用いましたが、ただ一つ難点が。
呉茱萸(ごしゅゆ)が何とも言えない不味さで、続けるのはなかなか厳しい。
ですので、近年に至ってはエキス剤も進化し、ずっと内容も濃くなったという理由から、私は皆様には漢方エキス剤をお勧めしています。

【当帰四逆加呉茱萸生姜湯の製剤について】


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